ふれあいコンサートⅠ
~ロバート・マン メモリアルコンサート~
日程 | 2018年8月19日(日)開演 17:00 |
---|---|
会場 | ザ・ハーモニーホール(松本市音楽文化ホール) |
料金 | ¥6,000(全席指定) |
公演時間 | 約2時間(休憩あり) |
曲目/ 出演者 |
《弦楽四重奏》(各グループ1つまたは2つの楽章を演奏致します) ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番 ホ長調 「ハープ」 Op.74 ヴァイオリン:キム・スーヤン、ジュリアン・ズルマン ヴィオラ:ヴィオレーヌ・デスペルー チェロ:キム・ブンジェン ブラームス:弦楽四重奏曲第2番 イ短調 Op.51 ヴァイオリン:アリョーナ・バーエワ、クレマンス・ドゥ・フォルスヴィル ヴィオラ:赤坂 智子 チェロ:マチェイ・クワコフスキー ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10 ヴァイオリン:マリー=アストリッド・ウロ、藤瀬 有芽 アルト・ヴァイオリン:ララ・アルベサーノ チェロ:蔡 幸涵 シューマン:弦楽四重奏曲第1番 イ短調 Op.41 ヴァイオリン:レベッカ・ローゼマン、クララ・メスプレ ヴィオラ:ジョアネス・メルレ チェロ:ジョナサン・ローゼマン チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第3番 変ホ長調 Op.30 ヴァイオリン:岡田 修一、アレクサンドル・パスカル ヴィオラ:カロリーナ・エレーラ チェロ:ダリマ・ツィーレンピロヴァ 《弦楽合奏》 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 Op.135 より第3楽章(弦楽合奏版) 【弦楽合奏追加出演者】 ヴァイオリン:城代 さや香、佐橘 マドカ、島田 真千子、白井 圭、滝 千春、直江 智紗子、三上 亮、後藤 和子 ヴィオラ:大島 亮、瀧本 麻衣子 チェロ:辻本 玲 |
演奏 | 小澤征爾スイス国際アカデミー |
"それは紛れもない「良き音楽」であり、そこにはスパークがあり、マジックがあったのだ。"
―村上春樹
「小澤征爾さんと、音楽について話をする」より。
本年1月に亡くなられたヴァイオリニストのロバート・マン氏は、室内楽や「語りと音楽」での名演だけでなく、指揮者としても松本にたくさんの素晴らしい音楽を届けて下さいました。若い音楽家の教育にも熱心であったマン氏を偲び、氏が創立時より情熱を注いだ「小澤征爾スイス国際アカデミー」を迎え、弦楽四重奏と弦楽合奏によるメモリアルコンサートを行います。
2011年、小説家の村上春樹さんは小澤征爾スイス国際アカデミーの活動を見るため、活動拠点のスイスまで足を運び、小澤征爾はもとより、講師のパメラ・フランク、今井信子、原田禎夫、そして故ロバート・マンらが若手弦楽奏者たちを指導する姿を目にし、同年に出版された小澤総監督との共著「小澤征爾さんと、音楽について話をする」にまとめられました。
同じことは、小澤さんの指揮する生徒全員のオーケストラについても言えた。それは文字通り一日ごとに求心力を身につけていった。そしてある時点から急に、それまでかかりにくかったエンジンが点火したみたいに、ひとつの共同体としての自律的な動きを見せ始めたのだ。たとえて言うなら、新しい種類の動物がひとつ、無明の世界に誕生したようなものだった。それはどのように手脚を動かし、どのように尻尾を動かし、どのように耳や目や意識を動かせばいいかを、日々具象的に体得していった。最初は戸惑いがあったものの、その動きは日を追うごとにますます自然に優美に、そして実効的になっていった。その動物は、小澤さんがどのような響きを念頭に置き、どのような律動を求めているかを、本能的に理解し始めたようだった。それは調教というのではない。そこにあったのは、「共感」を求めるための特別な種類のコミュニケーションだった。彼らはコミュニケートするという行為そのものの中に、音楽の豊かな意味を、自然な喜びを見出し始めたようだった。
―村上春樹
「小澤征爾さんと、音楽について話をする」より。