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8月3日(土)フェスティバルの到来を告げるオープンイベント「ようこそ 楽都 de ハーモニー」信毎メディアガーデンで開催!

毎年恒例、セイジ・オザワ 松本フェスティバルの到来を告げるオープンイベントの一つ、「お城 de ハーモニー」を、今年は場所を信毎メディアガーデン スクエアに移し、「ようこそ 楽都 de ハーモニー」としてお届けします。SK松本合唱団SK松本ジュニア合唱団による美しく迫力ある歌声をご堪能ください。

暑い中の開催が予想されます、暑さ対策を万全にご来場ください!

◼️歓迎演奏会「ようこそ 楽都 de ハーモニー
8月3日(土)10時30分~12時00分(入場無料)
信毎メディアガーデン スクエア(長野県松本市中央2-20-2)
※雨天時:ホール

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2024OMF ようこそ楽都deハーモニー チラシpdf

2024OMF 小澤征爾総監督 記念事業の開催について

セイジ・オザワ 松本フェスティバル (OMF)の総監督として、30年以上にわたり松本の地をこよなく愛し、「楽都・松本」を発展させていただいた小澤征爾氏の功績に感謝の気持ちを込め、今年のフェスティバルでは、新たに小澤総監督に関連する各種記念事業を開催いたします。
8月17日に「小澤征爾総監督 感謝の会―その生涯を祝福して―」と題し、サイトウ・キネン・オーケストラ出演での特別イベントを行うほか、街中でも、メモリアルフラッグの掲出や、市内各所へのメッセージボードの設置、各公演会場等のライトアップなどで街を挙げて盛り上げます。皆さまのご参加をお待ちしています。

【特別イベント】

小澤征爾総監督 感謝の会―その生涯を祝福して―
Celebration of Seiji’s life

小澤征爾総監督は地元(長野県及び松本市)の皆さんに、常々感謝の気持ちを表していました。この機会に地元OMFから小澤総監督へ感謝の気持ちを表し、できるだけ多くの皆さまと一緒に、その生涯を祝福する時間を共有できるよう「小澤征爾総監督 感謝の会」を開催します。
総監督の音楽の家族、サイトウ・キネン・オーケストラが沖澤のどか(OMF首席客演指揮者)とともに演奏を行うほか、今回特別に編集した映像の上映を行い、改めて小澤征爾総監督と過ごした時間を振り返ります。
本会には、松本市民・長野県民の皆さまを無料招待(※要事前申込)するほか、松本市内の特設会場2ヵ所でパブリックビューイングも行います。パブリックビューイングの詳細は後日公式ウェブサイトに掲載いたします。

日時:8月17日(土)開演 19:00(開場 18:30)
会場:キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)・大ホール
出演:サイトウ・キネン・オーケストラ、沖澤のどか(OMF首席客演指揮者)、ほか
司会:有働由美子
入場料:無料
対象: 長野県在住者
定員:1,000名(応募者多数の場合は、応募期間終了後、抽選にて決定いたします)
申込方法:インターネット申し込み お申し込みはこちらから>>>

申込期間:2024年7月24日(水)10:00~7月31日(水)正午
結果発表:鑑賞者の発表は、「招待券」の発送をもって代えさせていただきます。(発送予定日:8月2日(金))
注意事項:注意事項などはこちらのPDFをご覧ください。

主催:公益財団法人サイトウ・キネン財団/セイジ・オザワ 松本フェスティバル実行委員会
協力:一般財団法人サイトウ・キネン・オーケストラ財団

お問合せ:セイジ・オザワ 松本フェスティバル実行委員会 0263-39-0001

【オープンイベント】

歓迎吹奏楽パレード・合同演奏会

1992年の第1回より続く、フェスティバルを歓迎する恒例の吹奏楽パレード・合同演奏会。松本市内外の小・中学校、一般の吹奏楽クラブ等が、松本市街地から松本城への約1キロを華やかにパレードし、最後は本城二の丸庭園に集合して、合同演奏会を行います。
今年の合同演奏会はOMF首席客演指揮者の沖澤のどか指揮での演奏に加えて、生前の小澤征爾総監督の映像を大型スクリーンに投影を行います。演奏者・鑑賞者ともに、小澤総監督の往年の姿と音楽に想いを馳せる時間を共有します。

日時:8月18日(日)パレード 9:00~*、合同演奏会 10:30~*
会場:パレード:松本市街地・松本城公園
合同演奏会:国宝松本城二の丸庭園
指揮:沖澤のどか(OMF首席客演指揮者)
雨天時の対応:キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)において実施。
*当初発表の開催時間より変更となりました。

【まちなか等で展開予定の事業】

メモリアルフラッグの掲出 [期間:8月4日(日)順次掲出〜9月4日(水)]

フェスティバル期間中の街を彩る、OMFのフラッグ。今年は従来のOMFのイメージカラー(ブルー)のデザインの他、小澤征爾総監督のメモリアルフラッグを3種類作成し、エリア毎異なるデザインで掲出します。

メッセージボードの設置 [期間:8月1日(木)〜9月4日(水)]

松本市民をはじめ、フェスティバルにご来場の方や、観光客の方々が、小澤征爾総監督へのメッセージを寄せるメッセージボードを市内各所に設置します。
場所:松本市美術館、松本市立博物館、信毎メディアガーデン、ほか

OMFロゴ・OMFイメージカラー(ブルー)で各所をライトアップ [期間:8月9日(金)〜9月4日(水)]

場所:キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)、まつもと市民芸術館、松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール)、松本市立博物館

街なかにクラシック音楽 [期間:8月9日(金)〜9月4日(水)]

松本商店街連盟と連携しフェスティバル期間中街なかでクラシック音楽を流します。

《メディア情報》OMF首席客演指揮者 沖澤のどか 記者懇親会(7/23更新)

セイジ・オザワ 松本フェスティバル史上初の首席客演指揮者に就任した沖澤のどかさん。6月13日(木)出席いただいた記者懇親会の模様が下記のメディアで取り上げられました。一部WEBでもご覧いただけます。ぜひご覧ください!

▪️NHK(6/13)
セイジ・オザワ 松本フェスティバル 沖澤のどかさん意気込み|NHK 長野県のニュース

▪️信濃毎日新聞(6/13, 6/14)
小澤征爾さん亡くなって初のOMFで「最高の演奏を」 首席客演指揮者に就任の沖澤のどかさん 8月に松本市で開幕
小澤征爾さんから「これからもよろしく」、言葉の重みが自分を支える【詳報①】
OMF首席客演指揮者沖澤のどかさん 「涙が止まらなかった」、小澤征爾さんへの思い 今夏公演に向けて語る【詳報②】
OMF首席客演指揮者の沖澤のどかさん 松本市で過ごす時間がキャリアの支えになっている 【詳報③】

▪️東奥日報(6/13)
沖澤さん(青森出身)音楽祭へ意気込み

▪️市民タイムス(6/14, 6/15)
OMF「最高の演奏目指す」 首席客演指揮者・沖澤のどかさん抱負語る
OMF首席客演指揮者の沖澤のどかさん 「松本の街盛り上げたい」

▪️中日新聞(6/14)
<OMF2024>「気負いすぎず最高の演奏を」 首席客演指揮者の沖沢さん

▪️長野朝日放送(6/14)
OMF首席客演指揮者・沖澤のどかさんが抱負

▪️テレビ信州(6/14)
OMF初の首席客演指揮者 沖澤のどかさん「世界で一番いい演奏をする」意気込み

▪️東奥日報(7/10)
「全て小澤征爾にささげる」 OMF首席客演指揮者・沖澤のどかさん(青森出身)/ 長野・松本市で8月開幕

▪️信濃毎日新聞(7/12)
夢のような松本の夏再び セイジ・オザワ松本フェスティバルまで1ヶ月 首席客演指揮者・沖澤のどか「小澤・齋藤先生がのこした物 掘り下げる」

▪️日経新聞(7/23)
指揮者沖澤のどか 松本・青森の夏の音楽祭で相次ぎ活躍

【2024OMF特別寄稿】サイトウ・キネン・オーケストラとブラームス

2024セイジ・オザワ 松本フェスティバルのオーケストラ コンサート BプログラムCプログラムでアンドリス・ネルソンスとサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)が演奏する、ブラームスの交響曲全曲。SKOにとっては、1980年代から始まった初期の海外ツアーでその全曲を取り上げ、草創期にその方向性を決定づけた最も大切なレパートリーであるといっても過言ではありません。その歴史を振り返りつつ、今回初となる全曲演奏への期待を、音楽評論家の東条碩夫氏にご寄稿いただきました。


東条碩夫(音楽評論家)

 アンドリス・ネルソンス氏がサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)を指揮して、ブラームスの交響曲全4曲を連続演奏する。またとないプログラムだ。
 前身の「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」(SKF)時代も含めた「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」(OMF)において、一人の作曲家の全交響曲が単年度の中で連続演奏されるのは、これが初めてになる。そしてまた、ブラームスの交響曲のうち、「第3番」と「第4番」がフェスティバルの中で演奏されるのも、これが最初である。
 そうは言っても、小澤征爾さんとSKOの演奏によるブラームスの交響曲は、4曲ともフィリップス・レーベルからCDで発売されたことがあるではないか? いや、あれはすべて、フェスティバルが発足する以前の録音だったのだ。

**********

 思い起こすのは、1992年の初秋、SKFが華々しく旗揚げされた年のこと。松本駅に降り立ち、駅前広場に出た時に、まず耳に飛び込んで来たのは、広場の中央に立つポールのスピーカーから流れる、小澤&SKOの演奏するブラームスの「第4交響曲」だった。そして見渡す限り、街中に揺れているあのSKFのフラッグ。松本市全体が興奮に沸き立っているような感があった。

 そして夜の長野県松本文化会館では、いよいよ開幕演奏会が行なわれた。即位されて間もない天皇・皇后両陛下(現・上皇ご夫妻)を2階席正面に迎え、小澤&SKOが演奏したのは、委嘱作品である武満徹氏の「セレモニアル」(笙のソロは宮田まゆみさん)と、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」、そしてブラームスの「交響曲第1番」であった。
 あのブラームスでの吹き上がる熱気にあふれた演奏を、どうして忘れられるだろう。それは、内外から参集した腕利きの楽員からなるサイトウ・キネン・オーケストラという楽団の本領を、われわれ日本の聴衆が初めて現実に知った瞬間━━といっていいかもしれなかった。両端楽章での劇的で嵐のような推進力、中間2楽章での瑞々しい活力に富んだ叙情美。技術力の面でも、音楽のパワーと勢いと量感などの面でも、日本のオーケストラとしてはたしかに一頭地を抜いた存在であろう、と筆者は当日の日記に書きこんだ。

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1992サイトウ・キネン・フェスティバル松本
1992年9月5日、13日 長野県松本文化会館(現キッセイ文化ホール)

 SKF/OMFにおける小澤征爾&SKOのレパートリーの中で、ベートーヴェンの交響曲は中心的な存在となっていたが、それ以前に活発に行なわれていた外国への演奏旅行では、むしろブラームスの交響曲のほうが重要な位置を占めていたのである。
 例えば、1987年9月に独、墺、英、仏へ行なわれたツアーでは、「第1番」が取り上げられていた。そして1989年9月のウィーン、ミュンヘンなどへの訪問では「第4番」が選ばれ、この時、1516日にベルリンのイエス・キリスト教会でレコーディングが行われた。
 その後1990年8月のザルツブルク祝祭やロンドンのプロムス音楽祭などへのツアーでは再び「第1番」が演奏され、1415日にベルリンのシャウスピールハウス(現コンツェルトハウス)でCD録音が行われた。また、1991年9月のロンドンやニューヨークへのツアーで取り上げられたのが「第2番」と「第3番」で、その2曲は、オランダのナイメヘンで1820日にレコーディングされている。
 この頃の小澤&SKOは、いずれも火の玉のような勢いに満ちた熱演が特徴で、そのパワフルな演奏は欧州の聴衆を驚かせたと伝えられる。1992年のSKFの記念すべき開幕を飾った「第1番」の快演も、その流れの中にあったと言えよう。

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サイトウ・キネン・オーケストラ ヨーロッパツアー1989
1989年9月11日 ウィーン コンツェルトハウス

 開幕年の「第1番」のあと、SKFのプログラムにブラームスの交響曲が登場したのは、なんとそれから17年も経ってからのことだった。
 その2009年に取り上げられたのは「第2番」だったが、その頃には、小澤&SKOの初期の頃のような猛烈型の演奏はすでに影を潜め、もっとしなやかな、音楽をじっくりと歌い上げるようなアプローチになっていた。第3楽章の弦の歌などには昔ながらの厚い響きが残っていたものの、それももう、ささやくような柔らかい音色の方が際立っていた。第4楽章はまさにSKOの威力を発揮した演奏だったが、かつてのように威圧的な表情になることは、もうなかった。それは、小澤&SKOの変貌をまざまざと感じさせる演奏だったのである。
 この「第2番」が、残念なことに、小澤総監督のもとで、松本で聴けたブラームスの交響曲の最後のものになってしまったことは周知のとおりである。2010年には「第1番」が、2015年と2016年には「第4番」が演奏されると予告されたが、いずれも実現しなかった(2010年は下野竜也さんが指揮している)。小澤さんがもし元気であったなら、必ずや新しいブラームスの交響曲ツィクルスを松本で完成させてくれたであろう。それを思えば、痛恨の極みである。ただ、201012月に行われたカーネギーホール公演では予定通り「第1番」が小澤さんの指揮で演奏され、デッカ・レーベルにライヴ録音もされて発売されたことが、一応の救いであった。

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2010サイトウ・キネン・オーケストラ ニューヨーク公演at JapanNYC
2010年12月18日 カーネギーホール スターン・オーディトリウム

 こうしたSKF/OMFとSKOのブラームス演奏史の中に登場するのが、今年のネルソンス氏の指揮によるツィクルスなのである。一昨年11月に彼が来松して指揮したマーラーの「交響曲第9番」をご記憶の方も多かろう。あの第4楽章、弦楽器群が総力を挙げて演奏した長大な主題における豊麗な和声の美! 
 彼とSKOの相性の良さは充分と思われる。今年のブラームスが、小澤征爾総監督の遺志を継ぐこのフェスティバルの、その新たな輝かしい第一歩となりますように。

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2022セイジ・オザワ 松本フェスティバル
2022年11月25日 キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)

公演写真:
サイトウ・キネン・フェスティバル松本/セイジ・オザワ 松本フェスティバル
大窪道治

関連公演

オーケストラ コンサート Bプログラム

2024年8月16日(金)、17日(土) キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
指揮:アンドリス・ネルソンス
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ

オーケストラ コンサート Cプログラム

2024年8月21日(水)、22日(木) キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
指揮:アンドリス・ネルソンス
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ

2024OMF 新チラシができました!SKOメンバーリストも掲載

2024セイジ・オザワ 松本フェスティバルの新チラシができました。気になるサイトウ・キネン・オーケストラ メンバーリストも掲載しています。公演会場などでも配布予定です。見かけたらぜひお手に取ってご覧ください。

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2024OMF 新チラシ

8月12日(月・休)ふれあいコンサート Ⅰ  出演者変更のお知らせ

8月12日(月・休)開催のふれあいコンサート Ⅰ に出演予定でしたヴィオラの赤坂智子は、諸般の事情により出演できなくなりました。代わりまして、小倉幸子が出演いたします。何卒ご了承ください。

OMF首席客演指揮者 沖澤のどかに聞く

このたびセイジ・オザワ 松本フェスティバル史上初の首席客演指揮者に就任した沖澤のどかさん。先日開催された記者懇親会では、就任にあたっての抱負から、2022年のサイトウ・キネン・オーケストラとの初共演、小澤征爾総監督とのエピソード、就任披露となる今年のオーケストラ コンサート Aプログラムの選曲の意図までお話しいただきました。懇親会の内容を抜粋でお届けします。

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©2024OMF/大窪道治

──セイジ・オザワ 松本フェスティバル首席客演指揮者就任にあたって。

2022年夏、 松本で小澤征爾総監督が見守る中、《フィガロの結婚》上演しました。 あの時の興奮と感動は私の人生の中でも本当に特別なもので、死ぬまで忘れられない経験になりました。その松本滞在時に、小澤征爾さんから「これからもよろしく」と言っていただいて、その言葉の重みが、公演が終わって夢心地のフワフワしている中に、お腹の中にグッと大きな重い何かをいただいたような心地がしました。それはプレッシャーとか責任の重大さということだけではなく、自分を支える重さにもなっていると感じています。

──就任披露となるオーケストラ コンサート Aプログラムについて。

2年前の《フィガロの結婚》での体験が忘れがたく、あのサイトウ・キネンの音と人の声、歌声が合わさった時のあの浮遊感とか特別な魅力をもう一度味わいたいと思い、最初にR.シュトラウスの《四つの最後の歌》を提案しました。

《四つの最後の歌》でプログラムを終えたいと思ったんです。一番最後の終わりがとてもきれいで、自然に還っていくような、そういう印象があるので松本にピッタリだと思いました。ソプラノにはエルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァーさんという、ドイツ語の歌唱に優れた、声にとても深みのある素晴らしい歌手が来てくださいます。オーケストラとどんな反応を見せるかとても楽しみです。

前半の《夏の夜の夢》のメンデルスゾーンは、2015年にドイツに渡り、メンデルスゾーンの第一人者であるクルト・マズア先生の講習会で3週間にわたって叩き込まれたこともあり、私にとって特別な作曲家です。マズア先生が亡くなる1年前で、もうほとんど体が動かなかったのですが、「指揮ってなんだろう?」と思わせるような本当に特別な音がするんです。人間から醸し出す何かがここまでオーケストラの音を変えるのか?というのを目の当たりにして…その時の音色をずっと覚えているので、もしそれを実現できるとしたら、サイトウ・キネンかもしれないと思い選曲しました。

R.シュトラウスの《ドン・ファン》は、日本で初めて優勝したコンクールのファイナルで演奏した特別な思い入れのある曲でもあります。《四つの最後の歌》の地平線を見渡す様な感じとはまた違い、とても躍動感のある、人の血が燃えたぎるようなエネルギーに溢れています。それが良い対比になるかと思いました。

プログラムを通して、作曲家が文学や戯曲*に発想を得て仕上げた作品という繋がりもあります。

*《夏の夜の夢》はシェイクスピアの戯曲、《ドン・ファン》はレーナウの詩、《四つの最後の歌》はヘッセとアイヒェンドルフの詩に発想を得ている。

──2022年《フィガロの結婚》でのサイトウ・キネン・オーケストラとの初共演について。

オーケストラリハーサルの初日、まさにリハーサルが始まる直前に(指揮台のあたりに)大画面が用意されて、まだご自宅にいらっしゃった小澤征爾さんからオーケストラの皆さんに激励の言葉があったんです。画面が点いた瞬間に、背筋が伸びる、オーケストラの皆さんの空気がパッと変わる。リハーサルを控えて吐きそうなくらいに緊張している自分と、ここに映し出されている「小澤征爾」という存在は同じ指揮者と言ってはいけないような存在で、その人が何を振るかという以前に、オーケストラにとってどういう存在で、今までどういうことを共有してきて、どう尊敬し合ってというのを、そこの空気がパッと変わったそれだけで肌で感じました。

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©2022OMF/大窪道治

その後、(シャルル・)デュトワさんがシンフォニーコンサートのリハーサルをされている時に、見学させていただいたのですが、そこで松本入りした小澤征爾さんが指揮をされたんです。私はもう涙が止まりませんでした。本当にすごい音がしたのと、オーケストラの皆さんの顔つき、小澤征爾さんの眼力、言葉にしたら嘘になりそうなくらいの濃密な時間と関係性があって、そこに居れてよかったなと思いました。

私が松本でポジションをもらうということは、そこに入るということとはまた違うんだろうな、と思いました。ですので、それを見せてもらえたというのは、具体的には言えませんが、サイトウ・キネンのそのままの姿を見せてもらえたので良かったと思いました。

──2022年《フィガロの結婚》のリハーサル/本番について。

特に印象に残っているのは、リハーサル初日の「序曲」が始まった瞬間の、音楽が空気を動かすその感動です。コントラバスとファゴットとチェロの音、オペラの本編に出てこないテーマではあるのですが、もう走馬灯のように全幕が見えるような、それくらいインパクトがある。コントラバスの方から、すごい風が吹くような感じがして、思わず目を見開いてしまって…。あの音を聴いた時にこれはとんでもないことになるかもしれないと思いました。

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©2022OMF/大窪道治

あとは、歌手が入ったときの2幕のフィナーレ。テンポもころころ変わり、出演者もたくさん出てきたり、本当に大変な場面なのですが、そこが自動的にいったなと。それまで歌手と築き上げてきたもの、オーケストラとリハーサルしたもの、だけではなく、そこに何か音楽の必然性があって、それをたまたま皆で持ち合わせる、そういう感じがすごくして、不思議とリハーサルを重ねる毎に気持ちが軽くなっていったのを覚えています。「大丈夫、もっといける」という感じで、むしろ本番が楽しみで、3回の本番がどれも全然違いましたし、サイトウ・キネンの持っている魂、そういうものが音楽にそのままに繋がっているような気がしました。そこに人間のエゴなどはなく、それがモーツァルトにもぴったりきて、とんでもないオーケストラだなと思いました。

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©2022OMF/山田毅

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©2022OMF/山田毅

──小澤総監督からの言葉で印象に残っていることや学んだことは?

本当に短い一言だったんですが、「モーツァルトのオペラを」ということを一言力強くおっしゃって、それで何か託されたなと思いました。すぐにこの先モーツァルトのオペラだけ取り上げるという意味ではないですが、私の音楽人生をかけてモーツァルトのオペラに取り組みたい、それまで 自分で思っていたことでもあったので、背中を押してもらえたような気持ちです。

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©2022OMF/山田毅

何か学びを活かすというような存在ではないです、あまりにも遠くて。だけど子どもの時からずっと聴いていましたし、学生のときはリハーサルを見学させていただいたりしたので、私の音楽や人生そのものに影響を与えている人ですし、ヨーロッパで日本人として今なんの疑問もなく音楽ができるというのは、やはり小澤征爾さんの存在にとても恩恵を受けていると思います。

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©2022OMF/大窪道治

──フェスティバル史上初のOMF首席客演指揮者就任について、どう受け止めてますか?

サイトウ・キネン・オーケストラは、子どもの頃の私にとって特別な存在でした。伯父がクラシック音楽の愛好家で、趣味で楽器もやっていたのですが、とにかくたくさんCDが家にあって、その中でも特に多かったのが小澤征爾さん指揮のサイトウ・キネンのCDだったんです。子どもの頃から聴いているオーケストラは特別。サイトウ・キネンは海外から来るオーケストラのような雰囲気が漂っていて、大きな憧れだったんです。

2022年に、そのサイトウ・キネンの前に立つというときは、本当に信じられないくらいに緊張して、自分の憧れを自分で壊してしまうかもしれないという怖さがとても大きくて怖かったんですけれども、リハーサルが始まったらそんな不安は吹っ飛ぶような素晴らしい音でそれで一気に本番まで駆け抜けました。

就任するにあたっては、初めてのポジションということで、自分でやれることはどんどん探していかないといけないし、とても責任のある立場だと思うのですが、とにかく気負わずに、素直に音楽をやればこの先にどういうことをすべきかが自ずと見えてくると思っています。

──今回はOMFオペラや子どものためのオペラで《ジャンニ・スキッキ》を日本の気鋭の歌手陣の皆さんと小澤征爾音楽塾オーケストラと演奏します。

音楽塾の良いところは、各楽器にコーチがついて、かなり長い期間稽古するんですよね。そこであわよくば自分も学ぼうと思っています。自分が教える立場とは今のところ感じていなくて、一緒にどう変わっていけるか、そして若い奏者たちがオペラを好きになってほしいと思います。

子どもの頃から器楽をやっていると、歌手はその日の調子で違ったり、楽器の都合とは全然違うところが多々でてきます。そこで、オペラって面白いな、人の声って面白いなって、そういうふうに思ってもらえるように一緒に学んでいけたらいいなと思います。

──今後のOMFへの想いについて。

当初から(首席客演指揮者の)就任発表は2月に予定していたのですが、小澤征爾先生がお亡くなりになったので、「四十九日は発表を延期しませんか?」とフェスティバルの事務局に提案したんです。そうしたら「小澤征爾はそんなこと言うわけない、すぐに未来のことを発表していった方がいい」と返ってきてハッとしました。それがやはり小澤先生と一緒に作ってきた人たちが(立ち止まるという考えを)一蹴するというか、考えが全くない、とにかく先を見ていくべきだなと思いました。

いま齋藤秀雄先生から直接教えを受けた方々、その世代がもう少数になってきているので、その方々から若い世代にどう受け継いでいくかというところを一緒に見ていきたいと思いますし、これまでの音ということにこだわりすぎずに、今、ここで最高の音楽をする、世界中から最高の奏者を集めて、松本で今世界で一番良い演奏をする。具体的な齋藤先生の教えや、小澤先生はこうしていた、そういうことに囚われすぎずに、新しいこともどんどん始めていくべきだと思います。

これまでのサイトウ・キネンをよく知るということと同じくらい、この先のサイトウ・キネンを発展させていくという、その両方を同じ重さを置いて活動していきたいと思います。

──松本についての印象は?

夏の松本は本当に特別な空気感があるんです。うまく言葉にできないのですが、街全体が一丸となって夏を、OMFを盛り上げる。街を歩いているだけで幟がたくさん立っていたり、小さいカラフルな(OMFの)Tシャツがディスプレイされていたり、街をあげての音楽祭という雰囲気が伝わってきます。

お客さんもサイトウ・キネンの皆さんも小澤征爾音楽塾の皆さんも、やはり松本での顔があると私は感じます。日本のどこのオーケストラに行っても「松本楽しかったね」って、誰かが声かけてくれるので、本当にかけがえのない経験になったなと思います。松本で一緒に過ごしたことが、どれだけ私の今のキャリアで支えになっているか、本当に計り知れないんです。

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記者懇親会:2024年6月13

関連公演

オーケストラ コンサート Aプログラム

2024年8月10日(土)、11日(日) キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
指揮:沖澤のどか(OMF首席客演指揮者)
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ

OMFオペラ プッチーニ:「ジャンニ・スキッキ」

2024年8月25日(日) まつもと市民芸術館・主ホール

子どものためのオペラ ※教育プログラムのため、一般の方のご入場はできません。
2024年8月26日(月)、27日(火) まつもと市民芸術館・主ホール

指揮:沖澤のどか(OMF首席客演指揮者)
演出:デイヴィッド・ニース
出演:町 英和(ジャンニ・スキッキ)、藤井玲南(ラウレッタ)、澤原行正(リヌッチオ)ほか
演奏:小澤征爾音楽塾オーケストラ

《メディア情報》ONTOMO MOOK「小澤征爾」本日発売!

ONTOMO MOOK「小澤征爾」(音楽之友社編)が本日発売されました。「音楽の友」「レコード芸術」誌に掲載された小澤征爾総監督の過去の貴重なインタビューや記事を再編集して構成。「日本の音楽界にとっての「黒船」的存在 セイジ・オザワ 松本フェスティバル(広瀬大介氏)」、「サイトウ・キネン・オーケストラの録音(新 忠篤氏)」、「僕らが、舞台で見ている小澤征爾─矢部達哉(ヴァイオリン)」、「恩師・齋藤秀雄と桐朋学園(寺西基之氏)」、「沖澤のどか(セイジ・オザワ 松本フェスティバル首席客演指揮者)インタビュー(池田卓夫氏)」など、フェスティバルやサイトウ・キネン・オーケストラに関連する記事も多数掲載されています。ぜひご覧ください。


ONTOMO MOOK
指揮者 小澤征爾
世界のOZAWA軌跡と継承

世界的指揮者の小澤征爾
日本が誇る世界のOZAWAの八面六臂な活躍と次世代への継承を紹介

【定価】2,200円 (本体2,000円+税)
【判型・頁数】B5・160頁

音楽之友社編

1959年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝以降、次々と世界の名門オーケストラの音楽監督を歴任、2002年にはオペラの殿堂であるウィーン国立歌劇場の音楽監督に東洋人として初の就任を果たすなどして、世界のクラシック音楽界の頂点に上り詰めた。一方、新日本フィルの立ち上げ、サイトウ・キネンオーケストラの結成、水戸芸術館館長を務めるなど日本でも精力的に活躍。また、教育活動にも情熱を注ぎ、小澤征爾音楽塾、小澤国際室内楽アカデミーなどで後進の指導にあたった。日本が誇る世界のOZAWAの八面六臂な活動を追い、次世代への継承を紹介する。ウィーン国立歌劇場、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルでの公演データ、ディスコグラフィ付き。

《メディア情報》「ぴあクラシック」2024 Summer Vol.69 記事掲載!

フリーペーパー「ぴあクラシック」2024 Summer Vol.69 の「クラシック・フェスティバルに出かけよう!!全国夏フェス情報」にて、2024OMFをご紹介いただきました。

ぴあクラシック 2024 Summer Vol.69:2024OMF紹介記事
(ぴあクラシックはWEB版でもお読みいただけます!)

ぜひお読みください!

2024OMF OMFオペラ/子どものためのオペラ プッチーニ:「ジャンニ・スキッキ」 児童ソロ オーディションのお知らせ

2024セイジ・オザワ 松本フェスティバルでは、OMFオペラおよび子どものためのオペラとしてプッチーニ「ジャンニ・スキッキ」[全1幕/原語(イタリア語)] を上演します。この作品の児童ソロ ゲラルディーノ役のオーディションを開催します。

詳細は下記をご確認ください。オーディション応募締め切りは7月3日(水)17時 必着です。

2024OMF「ジャンニ・スキッキ」児童ソロ オーディション要項(PDF)はこちら>>>

2024OMF「ジャンニ・スキッキ」児童ソロ オーディション申込書(PDF)はこちら>>>