28回目の開催となる2019セイジ・オザワ 松本フェスティバルの公式プログラムを発表いたします。サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)が今年タッグを組むのは、フェスティバル通算5回目の出演となる名指揮者 ファビオ・ルイージ氏。SKOと松本でこれだけ再演を重ねているのは、小澤征爾総監督に次いで彼だけであり、オーケストラとの絆は回を重ねるたびに強くなっています。オーケストラ公演では、2008年に小澤xSKOが名演を繰り広げたマーラーの「巨人」と、フェスティバルでは初となる作曲家フランツ・シュミットの交響曲 第4番に挑みます。また今回はオーケストラコンサートだけでなく、オペラ公演でも指揮。合計4回、松本で指揮台に立ちます。
もう一つのオーケストラ公演で指揮を務めるのは、昨年も松本で喝采を浴びたディエゴ・マテウス氏。2018年12月のドイツ・グラモフォン創立120周年SPECIAL GALA CONCERTでもSKOと共演を果たしたベネズエラ出身の気鋭指揮者は、同じラテン・アメリカのメキシコ人作曲家レブエルタスの「センセマヤ」をプログラム冒頭に選び、モーツァルトの「ハフナー」と、チャイコフスキーの「悲愴」を取り上げます。過去にSKOとは、チャイコフスキーのシンフォニーを2011年(第4番)と2018年(第5番)に熱演しているだけに、チャイコフスキー最後の大作と称される第6番には、期待が高まります。
オペラでは、サイトウ・キネン・オーケストラが実に4年ぶりにオーケストラピットに入ります。世界的に人気の演出家ロバート・カーセンが、ニューヨーク メトロポリタン歌劇場で初演したチャイコフスキー:エフゲニー・オネーギンを松本でお届けできることに、いまから指揮者、オーケストラ一同楽しみにしています。
今年、新たに加わる目玉公演は、オーケストラ コンサート“ピーターと狼”。小澤総監督もかつて指揮・ナレーションを務めたことがある“音楽物語”を、《フィガロの結婚》序曲やマ・メール・ロワといったオーケストラの名曲とともにお贈りします。指揮は、これがフェスティバル指揮者デビューとなる、世界的ホルン奏者であり誰よりも仲間(SKO)のことを熟知しているラデク・バボラーク氏。そして、いま人気絶頂の俳優ムロツヨシさんの語りにより上演します。スロヴァキア在住の絵本作家 降矢ななさんの絵による、舞台演出にもご注目。ご家族そろってお楽しみ頂けるプログラムです。
今年のOMF室内楽勉強会は、10年ぶりに歌手とピアニストのためのリートデュオの勉強会が復活。白井光子氏を講師に迎え、ドイツ歌曲を中心に、奥志賀高原での合宿・レッスンの成果を発表会にて披露します。
質の高い室内楽をそろえた、ふれあいコンサートも3公演を予定。ふれあいコンサートIでは、昨年の公演で万雷の拍手を受けた、小澤総監督の教育理念の結晶とも言うべき小澤征爾スイス国際アカデミーが再び来日。ヨーロッパでの難関オーディションを経てアカデミーに初参加する、将来を嘱望される若手や、今や世界各地でソリストやコンサートマスターとして活躍するシニアメンバーが弦楽四重奏を披露します。弦楽合奏では、奥志賀の勉強会のOBメンバーも加わります。管楽器のハーモニーを存分にお楽しみ頂けるふれあいコンサートIIでは、SKO管楽器の中核を成す名手揃いのオーボエセクションが念願のトリオを松本で披露。また、SKOに1990年から参加しており、故齋藤秀雄先生の指揮での演奏経験も多く、ソリストを務めた経歴も持つ、和波孝禧さんを中心としたブラームスの六重奏は、ふれあいコンサートIIIでの必聴プログラムです。
今年も彩色に富んだ豊かなプログラムで、松本の夏を彩ってまいります。皆様のご来場をお待ちしております。
当初予定しておりました、小澤征爾総監督と内田光子さんの共演プログラムは、総監督の昨今の体力を考慮した結果、公演を見送ることとなりました。楽しみにして頂いたお客様には、大変申し訳ありません。昨年は松本入りが叶わなかった総監督ですが、今年は松本に滞在し、オーケストラ コンサート、オペラ、室内楽の公演、教育プログラム、オープンイベントなど、すべての公演を監督することに意欲を燃やし、また、松本の皆様とお客様にお会いできるのを楽しみにしています。