毎年、多彩なプログラムをそろえてお届けする室内楽公演「ふれあいコンサート」より、 ふれあいコンサートI~ロバート・マン メモリアルコンサート~ の詳細を発表いたします。
約半世紀にわたり、ジュリアード弦楽四重奏団で第一ヴァイオリンを務めたロバート・マン氏は、室内楽や「語りと音楽」での名演だけでなく、指揮者としても松本にたくさんの素晴らしい音楽を届けて下さいました。若い音楽家の教育にも熱心であったマン氏を偲び、氏が2005年の創立時より情熱を注いだ若手弦楽奏者のためのアカデミー 小澤征爾スイス国際アカデミー を迎え、弦楽四重奏と弦楽合奏によるメモリアルコンサートを行います。
小澤総監督がスイスに設立し、パメラ・フランク(ヴァイオリン)、今井信子(ヴィオラ)、原田禎夫(チェロ)といった一流の講師陣を誇るアカデミーには、毎年ヨーロッパを中心に世界各地より若い音楽家が集い、既にソリストとして国際的に活躍しているメンバーや、名だたるコンクールで輝かしい受賞歴を持つ若手が数多く参加しています。マン氏は、このアカデミーに特別講師として招かれ、カルテットのマスタークラスや小澤総監督とともに弦楽合奏を指揮しておりました。
今年も6月30日よりスイスのレマン湖畔、ロールにて開催されるアカデミーは、ヴィクトリアホール(ジュネーヴ/7月8日)やフォンダシオン ルイ・ヴィトン(パリ/7月11日)にて公演を行い、松本に来日します。本メモリアルコンサートでの追悼曲には、マン氏がジュリアード弦楽四重奏団期より最も愛し、弦楽合奏としても多く指揮をした曲の1つであり、近年、小澤総監督も好んで取り上げている想い入れの深い、ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番 Op.135 第3楽章の演奏も予定しております。
室内楽の偉大な指導者であったロバート・マン氏の教えを受け、その音楽の真髄に触れた若い音楽家たちの演奏をぜひ聴きにいらしてください。
ふれあいコンサートI~ロバート・マン メモリアルコンサート~ 予定プログラム
《弦楽四重奏》 (各グループ1つまたは2つの楽章を演奏致します)
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番 ホ長調 「ハープ」 Op. 74
ヴァイオリン:キム・スーヤン、ジュリアン・ズルマン ヴィオラ:ヴィオレーヌ・デスペルー チェロ:キム・ブンジェン
ブラームス:弦楽四重奏曲第2番 イ短調 Op. 51
ヴァイオリン:アリョーナ・バーエワ、クレマンス・ドゥ・フォルスヴィル ヴィオラ:赤坂 智子 チェロ:マチェイ・クワコフスキー
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 Op. 10
ヴァイオリン:マリー=アストリッド・ウロ、藤瀬 有芽 アルト・ヴァイオリン:ララ・アルベサーノ チェロ:蔡 幸涵
シューマン:弦楽四重奏曲第1番 イ短調 Op. 41
ヴァイオリン:レベッカ・ローゼマン、クララ・メスプレ ヴィオラ:ジョアネス・メルレ チェロ:ジョナサン・ローゼマン
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第3番 変ホ長調 Op. 30
ヴァイオリン:岡田 修一、アレクサンドル・パスカル ヴィオラ:カロリーナ・エレーラ チェロ:ダリマ・ツィーレンピロヴァ
《弦楽合奏》
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op. 135より第3楽章(弦楽合奏版) ほか
2018 小澤征爾スイス国際アカデミー メンバー(名前・生年・出身・略歴)
【ヴァイオリン】
アリョーナ・バーエワ 1985年 ロシア
2001年ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール、2007年仙台国際音楽コンクール優勝。アカデミーには2007年に初参加し、現在はシニア・メンバー
クレマンス・ドゥ・フォルスヴィル 1991年 フランス
トルンおよびヴァスコ・アバディエフ国際ヴァイオリン・コンクールで入賞。ヒエロニムス・カルテット 第一ヴァイオリン。2014年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンにも出演
藤瀬 有芽 1995年 日本
ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックでアリーナ・イブラギモヴァおよびマーク・メッセンジャーに師事。アカデミーには2017年より参加
マリー=アストリッド・ウロ 1997年 フランス
ドミニク・ペカットおよびアンリ・マルトー国際ヴァイオリン・コンクール入賞。19歳でパリ国立高等音楽院にて修士号を取得。2013年からアカデミーに参加
キム・スーヤン 1987年 韓国
2006年ハノーファー国際ヴァイオリン・コンクール1位。2016年にドイツ・グラモフォン社よりベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲と2つのロマンスを収録したCDをリリース。アカデミーには2005年に初参加し、現在シニア・メンバー
クララ・メスプレ 1997年 フランス
最近マーラー・ユーゲント管に参加。2016年、パリ・フィルハーモニーで開催されたFNAPECコンクールで、コンフルエンス・カルテットとして第1位、並びに二つの賞を獲得
岡田 修一 1995年 フランス
ジネット・ヌヴー、ミルクール、リピツァー、クライスラー、マルクノイキルヒェン、ポスタッキーニなど数々のコンクールで入賞。クロンベルク・アカデミーでプリンツ・フォン・ヘッセン賞受賞。2013年よりアカデミーに参加
アレクサンドル・パスカル 1993年 フランス
2009年パリ国立高等音楽院で最高位の賞を受賞。室内楽奏者として活躍。2016年よりアカデミーに参加
レベッカ・ローゼマン 2001年 フィンランド
シベリウス音楽院ジュニア・アカデミーでペッカ・カウッピネンに師事。数々のコンクールで優勝し、ソリストおよび室内楽奏者として定期的に演奏している
ジュリアン・ズルマン 1985年 フランス
ジュネーヴおよびロン=ティボー国際コンクール入賞。フランス国立ロワール管コンサートマスター。サイトウ・キネン・オーケストラメンバーであり、小澤国際室内楽アカデミー奥志賀で講師も務める。アカデミーには2007年より参加。現在はシニア・メンバーであり、アカデミーの選考委員会の責任者も務める
【ヴィオラ】
ララ・アルベサーノ 1996年 イタリア
トリノ音楽院にて優等でヴァイオリン・ディプロマを取得。2017年セシル・アロノヴィッツ国際ヴィオラ・コンクール2位
赤坂 智子 1981年 日本
ソリストとして、小澤征爾、大山平一郎、リュディガー・ボーン、ゲオルゲ・コスティン、オリヴィエ・クェンデ、ギュンター・ヘルビヒなどの指揮で、バイエルン放送響、ミュンへン室内管、バナト・ティミショアラ・フィル、ヴェネズエラ響、アンサンブル・コントルシャン、ジャパン・チェンバー・オーケストラと共演。アカデミーには2005年に参加
ヴィオレーヌ・デスペルー 1995年 フランス
2014年セシル・アロノヴィッツ国際ヴィオラ・コンクール2位。ソリストおよび室内楽奏者としてヨーロッパ各地に招聘されている。2017年ダフニス・カルテットを創立
カロリーナ・エレーラ 1993年 ロシア
バシュメット国際ヴィオラ・コンクール優勝し、室内楽コースや音楽祭に頻繁に客演。2015年よりアカデミーに参加
ジョアネス・メルレ 2001年 スイス
ドイツ国立ユース管、ヴェルビエ音楽祭ジュニア管のメンバー。2017年ブラームス国際コンクール セミファイナリスト
【チェロ】
キム・ブンジェン 1994年 フランス
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のカラヤン・アカデミーに在籍。アマーノ・カルテットの共同創立メンバー
マチェイ・クワコフスキー 1996年 ポーランド
第10回ヴィトルト・ルトスワフスキ国際チェロ・コンクール1位および特別賞受賞。エリザベート王妃国際音楽コンクール入賞
ジョナサン・ローゼマン 1997年 フィンランド
クロンベルク・アカデミーでフランス・ヘルメルソンに師事。17歳でチャイコフスキー国際コンクールの最終選考に残る。これまでにヨーロッパ各国、北米、極東で演奏
ダリマ・ツィーレンピロヴァ 1991年 ロシア
パリ国立高等音楽院でマルク・コッペイに師事。2016年クーシェヴィツキ国際チェロ・コンクール優勝。2016年よりアカデミーに参加
蔡 幸涵 1991年 台湾
パリ・オペラ座アカデミーに在籍。小澤国際室内楽アカデミー奥志賀、小澤征爾音楽塾にも参加。今年、サイトウ・キネン・オーケストラに初参加